民族服の五行説と色彩
民族服の美しい色彩の基本には中国の五行説と密接な関係がある。
五行説とは古代の中国の人の思想、哲学。 この世に存在する万物は、
すべて「木・火・土・金・水」の5つからできているという考え方。
この五行説は、めちゃくちゃ奥が深い。 五行説は、プラスのエネルギーをコントロールすることに考えが向けられ
風水、医学、宗教、政治など様々な分野で使われている。
これは、ほんの一例。
| 五志 |
五季 |
五方 |
神 |
五色 |
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五行 |
| 怒 |
春 |
東 |
蒼龍 |
青 |
青の意味 |
木 |
| 喜 |
夏 |
南 |
朱雀 |
赤 |
赤の意味 |
火 |
| 思(慮) |
土用 |
中央 |
黄龍 |
黄 |
黄の意味 |
土 |
| 悲(憂) |
秋 |
西 |
白虎 |
白 |
白の意味 |
金 |
| 恐(驚) |
冬 |
北 |
玄武 |
黒 |
黒の意味 |
水 |
古代の中国人は、
この五行説から導き出した五つの基本色(五色)を設定し、これを「正色」と呼んだそうだ。
民族服においてもこの基本色が多く見られる。
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■清潔感 透ける青 粋な藍
■青の染料として世界中で用いられているのが「藍」。
アジア各地には独特の味わいを持つ藍染めが多く見られる。 藍の色素であるインディゴを含む植物は種類が多く、
藍の種類や染め方は世界各地で違う。 日本の藍は、タデ科(蓼藍) インド藍は、マメ科、
琉球藍はキツネノマゴ科と品種が異なる。 現在では、合成藍(インディゴピューア)が多く使われ、
植物藍と合成藍の混用もある。
■■藍の美意識は欲求から生まれた
■どこか「粋」を感じさせる白地に藍色の模様のゆかた、 藍色に白く抜かれた屋号のデザインは
日本独特のもの。この「藍の文化」は、江戸時代に花開いた。
江戸時代、赤や紫などの鮮やかな色は支配階級の人のみが
身につけることを許されていた。 庶民に許されていたのは、青、茶、ねずみ色。
ブルー、グレー、ブラウンといえば今でこそシックな響きがあるが
もちろん当時はそんな言葉はない。 まさに、青色、ねずみ色、茶色。
この為、色彩への欲求はこの3色に集中し、限られた色の中から工夫を凝らし
豊かで微妙な階調を染め分け、多様な色調がうまれた。
「貧しい」とか「物が少ない、足らない」という状況から
本物の美意識は生まれるんだなぁ。 中でも「藍色」は庶民に愛され、 庶民の感情や生活を表現した浮世絵、
大衆が共感を呼んだ歌舞伎などにも映し出されている。
■■藍を愛する民族
中国 少数民族のチャオ族、チワン族、ダイ族などは藍染の生地の民族服を着る。 タイ 山岳地帯に住む、ミャオ族の民族服には、
ろうけつ染めを施した細かいひだスカートが見られる。
アフリカの諸民族にも藍は好まれて使われている。
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■魔よけの力 赤
■「火」「血」「太陽」「命」「エネルギー」「自己主張」
赤は、生命力、情熱、革命といった活力を生み出し、血脈を象徴する。 慶事の色とされ、婚礼衣装をはじめとして
民族服の生地や装飾にも赤は多く使われている。 また、東南アジアの少数民族の衣装は
特に赤が効果的に使われているものが多い。
■赤は赤でも 東洋の赤は黄色系の赤 西洋の赤は紫系の赤
色の意味がそれぞれの国で違う意味を持っている。
色彩心理についても、微妙にそれぞれの民族に与える影響は
違うものがあるのかもしれない。
■■赤の持つ超越的な力への信仰は世界各地に
■ヒンドゥー教において赤は「美と幸運の女神」の聖なる色。
インドのヒンドゥー教徒は寺院に足を踏み入れるとき額に赤い印をつける。 インド・ラジャスタン州では、伝統的な神聖な色とされ、
先ず花嫁衣裳は赤が使われている。
■キリスト教では「神の愛」、「罪と血」のシンボル。
■アフリカでは「火の布」と呼ばれる「赤」をあしらった布を
葬儀に用いる習慣の民族があるそうだ。
■日本の神社の鳥居や仏教行事、 紅白の垂れ幕や水引、お赤飯などに赤が使われるのも
聖域を暗示する色、魔よけの力を持つという信仰から結びついている。
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■東西、対照的な意味を持つ黄色。
■忌まわしい色 キリスト教を中心にした欧米文化の中では キリストを裏切ったユダが身につけていた色として ユダヤのシンボルカラーとなり忌まわしい意味、
差別的なイメージをもたれていた。
■黄色は聖なるもの 一方、アジアでは、黄色は聖なるもののシンボル。 中国の陰陽五行説思想において黄色は5つの正色の1つであり
世界の中央、天下を統一する「天子」のシンボルとされていた。
■映画「ラストエンペラー」 中国最後の皇帝を描いた映画「ラストエンペラー」の中で、
皇帝が黄色の服に身を包み黄色の絨毯の上を歩く印象的なシーンがある。
ジョン・ローンの無言の演技がカッコよかった^^
■王家専用の禁色 かつての沖縄、中国の影響が強く及んでいた頃、
黄色は王家専用の禁色とされていた。
■美味しそう!?
黄色系の染料の一つに「鬱金/うこん」がある。 インドを中心とした熱帯アジア原産の生姜科の植物、鬱金の根で染めた黄色。
カレーの香辛料ターメリックも同じもの。
インドにおいて聖なる色として大切にされてきた黄色は 日本では庶民の色。 室町時代に渡来して以来、たくあんの着色料として用いられたり、 希望の光として、赤ちゃんの産着に使われたり、
古美術品を包む、財布の色などとして定着していたそうだ。
「お金がざっくざく!」なんてフレーズの黄色い財布の広告。
ちなみに私の母は喜んで買ったが、、、(^_^;)
「ざっくざく」は聞こえてこない、、、、、。
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■無垢の色 白
■韓国「白衣民族」・・・・何色にも染まらない民族の独立精神
韓国人にとって白はとても大切な色なのだそうだ。 「白衣民族」とも呼ばれ、 陰陽五行説思想が中国から伝わり、
韓国独自の色彩精神と深く融合していったとみられている。
「素色(そしょく)」という韓国特有の色名は、
色を染めていない素地のままの色を指す。
日本の「生成り」にあたるところだろうか。
死者がこの世を離れ、新たに再生することを祈る意味で葬儀に用いられ、
また、何色にも染まらない民族の独立精神を象徴しているとも言われている。
■日本の伝統文化でも白の地位は高く、古来から「生成り」は尊重されてきた。
神に使える者の衣服は白の無地とされ、神社の造りには白木が多く使えわれた。
婚礼衣装の白無垢は日本女性の永遠の憧れ。
■中国人にとっての白
対照的なのが中国。
白衣は無位無冠の者、兵士などの身分の低い者が着る色とされていたそうだ。
■「白と黒」はこの世の「善と悪」 バリ島では、白は黄色と同じく聖域を示す色。
「白と黒」はこの世の「善と悪」の象徴だとされている。 ヒンドゥー寺院には、善なる空間を示す白い幕がかけられ バリ島の伝統芸能であるダンスや神話劇では、 必ずといっていいほど白と黒の市松模様のような
衣装を身に着けたキャラクターが登場する。
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■すべての感情をうちに秘めたる黒
■背筋がシャン!脱いだらホッ! 黒色の服を着ると何だか気持ちが引き締まり 背筋がシャンと伸びるような気がしませんか?
黒を身につけて一番厳粛な気持ちになったのは留袖を着たとき。 世界遺産である岐阜県白川郷での風情のある結婚式だったこともあり、
日本の伝統衣装「着物」の良さを改めて実感たことがあった。
帯をほどいた瞬間の「ホッ」も着物の良さ?
■葬儀に赤?????
日本の葬儀は黒の喪服だが、
世界的に見ても多くの国で葬儀といえば黒と白が用いられている。
例外を発見! 中国では、長寿を全うした場合に限り
葬儀の案内状も棺も赤で彩る場合があるそうだ。
「悲しみ」というよりは「祝福」の意味を示すものだと考えられている。
それぞれの文化によって死の受け止め方は様々だ。
■江戸時代 黒のファッション大流行!
80年代、黒のファッションが大流行し、
現在までも都会的でシャープ、クールなイメージで根強い人気がある。
江戸時代にも黒が大流行したことがあったらしい。 上流婦人のお遊び「衣装競べ」では 特定の染料で入念に染め上げられた黒を「上黒」といい、
小袖や紋付の色に「最上の色」として愛好されていたとのこと。
どの時代の女性もおしゃれには関心が高い。
■民族服の生地には鮮やかな色の刺繍などの
装飾効果を生かす黒がよく用いられる。 パキスタン地方のドレスには「つややかな綿の黒地」に 赤を主とした数々の色糸でたっぷりと刺繍が
施されているものが多く見られる。
■黒は「沈黙」を意味するもの 悲しいことにイラクなどの湾岸諸国では、 イスラムの女性たちの被るヴェールには黒が多く、
黒は女性隔離の象徴とされている。
黒は「沈黙」を意味するものでもある。
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